むっつり助平ギルド
むっつり助平をモットーに(?)世間的にはマイナーな自分的萌えジャンルに愛をそそぐヲタログ
※このブログは個人による趣味のための二次創作表現を含みますが、あらゆる原作・公式な団体とは関係ありません。全内容無断転載厳禁。※
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Not a propose, but a command.
とりあえずサイトっぽいブログにしたいのに必死なので(笑)
浮かんだネタを文章にしてみました。ら、案外長くなりました(汗) よろしければドゾ!↓ *Not a propose, but a command.* セイルーン王家の宮殿は、終わったばかりの儀式に俄かに興奮していた。 国中に愛される第二王女が常々冒険譚に話して聞かせた合成獣の魔剣士が、国王代理から直々に姫君の騎士に任命を受けたのだ。 御伽噺のような厳かな儀式の席で、端正な顔立ちの魔剣士はまるで一枚の絵画のように美しかった。 「ゼルガディスさん!」 石造りの白亜の回廊に響く澄んだ声が、やや緊張していた騎士を柔らかに振り返らせる。 「お疲れ様でしたぁ。」 「いや。お前こそ疲れてないか?」 ドレスの裾をつまんで自分に駆け寄る小柄な少女を労う。 「私はああいう行事に慣れて・・きゃ!?」 あと一歩の所でスカートを踏んづけた慌て者の姫君の体を、自分の腕の中に倒れこませる。 「こういうのも着慣れているはずだな?」 呆れ顔で覗きこむ男に少女も負けじと 「"こう"してもらいたくてざわとつまずいたのかもしれませんよ?」 と返してみる。 出会った頃はほんの子供で、こんな駆け引きは決して出来なかったのに、二人で過ごした時間の長さが少女の女を育てたのかもしれない。 青年は時々こんな不意打ちに胸を射られる。 「じゃあ今後は木の上やら塔の上から落ちても放っておくことにすれば、お前は一人で着地できるんだな?」 「そ、それとこれとは別じゃないですか・・・あ!それにゼルガディスさんは今日から正式に私の護衛になってくれたんですからね、護ってくれなきゃ職務怠慢ですよっ?」 青年の照れ隠しの憎まれ口であることにはまだ少女は気付かない。 あどけなく頬を膨らませながら、自ら口にした"職務怠慢"という語彙の、余りに義務的な響きを少し寂しがった。 昨日まではあんなに嬉しいことだと思っていたのに、もしかすると、何の約束もなくても護ってもらえた昨日までのほうが、幸せだったのだろうか? 「アメリア。」 「はい?」 白く長い回廊には、二人のほかに誰もいない。 太陽だけが柱に切り抜かれた輝きを届けている。 「確かに俺はお前だけの近衛騎士になった。でも、俺がお前を護るのは、フィル殿下とセイルーン王室に任命されたからじゃない。」 「それって・・・」 「俺は例え任命されていなくても」 アメリアの胸が早鐘を打つ。彼の耳に鼓動が届いてしまうのじゃないかしら。 「お前くらい危なっかしい奴にちょこまかされると落ちつかないからな、自分の手の届くところに留めておかないと。」 「な、なんですかそれー!」 別の意味で顔を赤くした超合金娘はぽかすかと青年の胸を叩くが、所詮キメラの肌に戯れの攻撃では痒くもなく、青年はこっそりと目を細めた。 「いいですよっ、私ゼルガディスさんなんかに護られなくたって、むしろ私が正義の名の下にゼルガディスさんを守っちゃいますからねっ!」 姫君は騎士に背を向けて、どうやらご機嫌を損ねてしまったらしい。 台詞は全くの惚気でしかないが。 「それはそれは頼もしいな。」 騎士は姫の肩ごしに両腕を回し、艶やかな後ろ髪に触れるか触れないかの口づけを落とす。 「それでゼルガディスさんが怪我したって、私がいつもすぐに回復呪文かけちゃうんですからね。」 「それじゃあ簡単にくたばれそうにないな。」 「そうですよ。だからすっごく難しいでしょうけど・・・私だけの近衛騎士さんだから、命令をきいてくれますか?」 自分の首の前に当然のように置かれている青年の両腕に、少女はそっと手を添える。 「言ってみろ。」 「私の前で・・・」 少女が息を飲んだのを、首に触れている腕が感じた。 「きっと私より先に死んで下さい。」 「な、に・・・?」 「私のいないところで死んじゃダメなんです。でも私の前で何かあっても、私がきっと救けてあげます。だからすっごく難題なんですけど、私よりきっと先に、ゼルガディスさんは死ななきゃダメなんです。」 青年の冷静沈着で売っている思考回路はショート寸前である。 力の緩まった腕の中で少女は自分の体を反転させて、青年の正面を向いて瞳を捕らえる。 「でも、キメラさんのままじゃ人間の私のほうが長生きするのは無理そうなので、ちゃんと人間に戻ってくださいね。」 大きな蒼い瞳のなかに、騎士は漸く真意を見た。 大勢の男女がそうするように、二人で天寿を生きようと、自分よりよっぽど男前な姫君の提案・・・否、命令に、青年は思わず苦笑する。 「どうしても俺が先じゃなきゃだめか?」 「だって、ゼルガディスさんはご両親を亡くした時のことを覚えてないんでしょう?」 いきなり話題が一足飛びになり、またもや混乱させられる青年の思考回路。 「私は母様が亡くなった時、悲しかったです。切なくて寂しくて、でもどんなに泣いても叫んでも、誰も「しょうがないわね」って母上に会わせてくれはしません。世界中捜しまわっても、どんなに名前を叫んでも、本当の本当に会えないんですよ。」 「・・・ああ。」 自分の胸に顔を押し付けた姫君の頭に、そっと手を添えながら、青年は聞いていた。 かすれそうになるのを必死でこらえて喉を突き上げている鈴の声を。 「私は一回経験して慣れてますし、こんなに恐ろしいくらい哀しいキモチを、ゼルガディスさんに味あわせるのは、正義じゃないですもん。」 恐ろしさを感じさせるほどの哀しみに、慣れる人間なんていないはずなのに、青年は腕の中の小さな少女の体を見て、己が口唇を噛み締めていた。 「だから、ゼルガディスさんには絶対そんな経験しないで、私の腕の中で死んで欲しいんです。それで私は、ゼルガディスさんを失った哀しみを味わいながら、ゼルガディスさんへの愛しさを後悔するほど再確認するんですよ。物語みたいでしょう?」 そう言って微笑んだか細く脆い宝物を、ゼルガディスは真綿のように優しく抱きしめ、口づけた。 「だめですよ、ゼルガディスさん。」 息苦しくなるほどの口づけが終わると、さくらんぼの唇が呟いた。 「命令を聞いて頂けますか?」 得意げに笑って、片手を胸の高さに差し出す少女。 その意図するところを悟った青年は、うやうやしく愛おしげにそれを手に取る。 「二人で一緒に息を引き取るってのも物語らしくないか?」 「う~ん・・まあ、妥協してもいいですが、最善は尽くしてください。いいですね?」 上目遣いに微笑む少女。 その手の甲をゆっくり自分の口元に持っていく騎士。 「イエス マイプリンセス 御意、お姫様。」 ************************************************************* 奇しくも敬老の日に天寿を全うする話もとい死ぬの死なないのネタを・・・(汗) proposeには結婚の申し込みだけでなく、提案という広義があります。 あえて本文中に”提案”という単語を簡素に取り入れながらニヤニヤしているキモい人間は私くらいでしょう(笑)。 思いつきで書いたので所々アレだ。後悔はしていない。(東京都・MOON)みたいな(何が。) ラストについて、竜をドラゴンと言ったりする世界だし実はあんまり英語が入っても違和感がないよね?とドキドキしながら突っ走りました。 すっげえ格好わるい!と思われましたら鼻で笑っといてくださいorz ちなみにどこからともなく「近衛」って単語を入れたがるのは勿論オスカル様の影響ですがあしからず☆ PR
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