むっつり助平ギルド
むっつり助平をモットーに(?)世間的にはマイナーな自分的萌えジャンルに愛をそそぐヲタログ
※このブログは個人による趣味のための二次創作表現を含みますが、あらゆる原作・公式な団体とは関係ありません。全内容無断転載厳禁。※
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七海さん夢=stars all alone=
七海さん夢小説です。
珍しく早く寝ようと思ったのに急に降ってきたので。 いつもSS書くとき騙されるんですが短いネタだと思ってちょちょいと書き始めると気付いたら長くなってます。「いいたいことまとまってないよ!警報」ですかね?どきっ。 設定は前回の夢と同じDDC衣裳部職員ですが、今回は付き合う前のお話です。名前変換なし。 とっても主人公中心のお話です。 =stars all alone= キッカケはほんの些細なコト。 愛されたい人に愛されないで、どうでもいい人に大事にされる。 たったそれだけのことなのに、どうして涙が出るんだろう。 衣裳部のアトリエで一人きり、紅い空が藍に呑み込まれる窓を見ながら、止まらない涙は机に頭を突っ伏して隠して、零れそうな嗚咽は外に漏れないように押し殺す。 雲が弱い風に流されながらゆっくりと瓦解してはまた集まるのを幾度か見送ったら、ブラウス一枚の肩が急に、冷えた空気を感じて震えた。 「いま、何時だろ・・・」 冷えた体を起こしながらどうせ一人っきりなのに口をついた声は、珍しいくらい鼻声になっていて、私は女子にあるまじき剣呑さで音を立てて鼻をすすった。 だから心臓が本当に口から飛び出るかと思った。 「6時23分。」 て声が背後から聞こえた時には。 「!!!!?????」 首が千切れそうなくらいの勢いで振りかえってみたら、外灯の灯りだけが漏れ入る暗いアトリエに、誰もいないと思っていたそこに、堂々と佇んでいるのは、イヤでも目立つ白スーツ。 「俺がアトリエをノックしようとしてから48分。とりあえず・・・使う?」 左手のDDCウォッチに事も無げに目を遣りながら、右手で私に箱ティッシュを寄越してきたのは、自称ウチの社長の右腕で自称100万ドルの男で女装にかけてなら右を出る者はちょっと知らないけどそれ以上に奇天烈な宴会芸仮装を趣味としながら衣裳部のブレインを悩ませる同僚、七海光太郎。 いくら平常時でないとはいえ、48分もこの男にみっともない姿を見られつづけて気付かないなんて・・・! ・・・ん?ティッシュ・・・?? 「!」 私は慌ててひったくるように箱ティッシュを受け取ると(ってこれアトリエのその辺にあったヤツじゃん)2、3枚まとめて引っ掴んで両手ごと顔を覆った。そりゃーもう世界記録なみのマッハな速度で。 また身体をぐるっと回し七海さんに背中を向けてから鼻を中心にゴシゴシした。 ひどい、最悪。なんで? どうして人生の中にはこういう日があるんだろう。 何もかも上手く行かない日。 寝癖がどうしても直らなくて、 下ろしたてのストッキングが伝染して、 電車が目の前を発車して、 お気に入りのランチが売りきれで、 電話で親と口論して、 エロオヤジな仕事先に付きまとわれて、 ちょっといいなって思ってた人には、近付こうとして焦って土足で踏み込みすぎて、猛スピードでダメになっちゃって、 仕事でちょっとしたミスやらかして大勢に迷惑かけて、 世界で誰も私の味方になんてなってくれないんじゃないかって思う、そんな日に。 それでどうしょうもなく涙が出てきちゃっていい年した社会人が会社で一人5歳児みたいに泣いてるところを、仕事仲間のしかも男に目撃された上鼻水面をバッチリ見られたなんて!!! あ、ヤバ、また涙でてきた・・・もう枯れた、はず、な のに ぃ。 もうヤダ。 もう、ヤダ。 新しいティッシュを引きぬいてまた涙を拭う。 窓ガラスに見事に腫れ上がったまぶたがかなりみっともなく映ってる。 その後ろに映る七海さんがこっちに歩いてくる。 こういう時ってホントつくづく思考回路が機能してないな、背中を向けても夜の窓ガラスに全部映ってるじゃん。七海さんが奥からゴソゴソとカップとボトルを持ってきたのも、全部。 ・・・カップとボトル? 「はい。」 七海さんは窓ガラスを鏡代わりに、美容院で美容師さんが髪を触りながら話すみたいに、窓ガラスごしに私に語りかけた。 「甘いミルクティーとシャンパン、どっちがいい?」 鳩が豆鉄砲くらったような顔、って、正にこういうことだと思った。窓に映った自分を見ながら。 「ミルクティー」 喉がもつれて声が掠れた。しまったと頭の片隅で冷静に思いながら、答えを発したのは無意識だった。 七海さんはいつもの笑顔で私の右手に温かいマグカップを差し出す。 私は丸めたティッシュを左手で手近な屑篭に放って、両手でカップを受け取った。 「の、後で、シャンパン。」 七海さんは一瞬目を大きく見開いた。 探偵はポーカーフェイスが商売だろ。半人前の七海光太郎め。 あれだけみっともなく泣いていた48分の過程とその結果のぐしゃぐしゃな顔を見られた今となっては、可愛い女の子ぶろうなんて努力は意味もない。 湯気の立ち上るミルクティーの熱さが想像以上に冷えていた指先をカップごしにほぐしていく。 白い湯気が鼻の奥のツンとしたものを溶かしていくのを感じながら、私は一口、優しい色の液体を喉に流しこむ。 背中の後ろで七海さんが安堵のため息をついたのを聞いた。 あまい。はちみつの味だ。 「・・・給湯室のティーハニー使った?」 「え?うん、なんかそんなヤツ・・・」 「ひっどーい、あれ私のじゃん、名前書いといたでしょー!?」 我ながら沸点がわからなくなっているんだけど、アトリエ横の給湯室に置いてあるちまっこいビンに入ったティーハニーはちょっと上等なやつで、いいことがあった時とかにちょびっっっとずつ紅茶に入れてた私の大事なヤツで、衣裳部の先輩にも使わせてない。 「え!?ってか結局自分で飲んでるんだから問題なくない!?」 七海さんはまだ半笑いを崩さず自分の分の白い客用カップのミルクティーを手放さない。 「七海さんだって飲んでるでしょー!?しかもこんなに甘いのハニーたっぷり入れなきゃじゃん!あんな小っこいビンなのにー!」 なんなの、私なんでこんなことで喚いてるんだろう。 ほんのさっきまで指先一本動きそうになかったのに、どこにこんなに元気が余ってたの。 たかがティーハニーだよ。たかがじゃないけど。 この男48分前から私が泣いてるの見つけてさ、いつ来たんだか気付かなかったけど。 アトリエに誰も来ませんようにってお願いしながら泣いてた私を、アトリエのドアの所とかからじっと見てたりため息ついたり呆れたりしてたんでしょ。 本当は、誰かにみつけてほしくて、「どうしたの?」って誰かが声かけてくれてもいいのになって思いながら泣き続けた私に気付かれないように給湯室でミルクティー沸かして、私の好きなミルクティー沸かして、私の大好きな甘いミルクティー二人分沸かして、戸棚に先輩が隠してた貰い物のヴーヴクリコ見つけて、私が泣きやむのを待ってたっていうの? それで48分後に現実に戻った私にティッシュ差し出して、ミルクティーとボトル抱えて、それでティーハニーのことで私にこんなにぎゃーぎゃー言われてるんだ、七海さん。 私ってやっぱり迷惑なヤツ。 だからあの人にも愛想つかされるんだよ。 七海さんはカップ半分のミルクティーが零れないように頑張りながら私のパンチを胸に受ける。 避けることも制止することもこのDDS一期生にしてDDCの若きホープには至極簡単なはずなのにね。 3、4発七海さんの胸を叩いたらもう、何やってんだろうって我に返った。 気恥ずかしくてみっともなくて、七海さんのネクタイまで5センチの顔を上げる事も出来ずにそのまま。 「ごめんなさい・・ちがうの、八つ当たりなの。」 七海さんにしか聞こえない声にしたつもり。 「・・じゃあ、ハチミツのことは水に流していい?」 きっと七海さんは笑ってるんだ、ってわかる声が頭の上から降ってきた。 怒ったっていいのに、こんな理不尽な仕打ちに、七海さんは笑えるんだ。 「それは別。こんど資生堂パーラーのケーキ買ってきてくれたら許す。」 私ってどこまで素直じゃないんだろう。 七海さんがこのスーツのまんま資生堂パーラーのケーキ売り場でケーキ買う姿想像したら、笑えちゃうじゃない。 「考えとこう。今日のところはシャンパンで手を打たない?」 「それ七海さんのじゃないじゃん、給湯室にあった先輩のでしょ?飲むけど。」 「自分のはハチミツひと匙でギャーギャー言うのに衣裳部長のヴーヴクリコは飲むんだね。」 七海さん呆れてる?いいんだ、今日はもうどう取り繕ったって最低な日なんだもん。 「欲しい物は手に入れちゃうジャイアニズム、嫌いではないけどね。」 ぽん、と、七海さんが、まるで散歩中の犬を見かけたときみたいに、私の頭に手を添えた。 私の顔はネクタイから5センチ、両手は握って彼の胸の上に置いたまま、私の身体は何気に維持するのが困難な体勢のまま動けなくなった。 「つまらないものはいくらでもどうにでもなるのに、本当に欲しい物はなんにも手に入らないじゃない。」 お腹から声を出すのを感じた。自分でも驚く、低い声だった。 「・・・話を聞こうか?それともお酒?」 暗い暗いアトリエの中、窓にはビル街の灯りが美しい。 誰かに発見されたら完璧に誤解される男と女の距離。 私は答える代わりに話を続けていた。 「広い世界に、誰も私のことを必要としている人なんていないんじゃないかって思うの。 ううん、たまにそういう人が居ても、何故かいつもそういう人は私にとって大切には思えない人ばかりなの。 自分が必要とされたい人に、必要とされるなんて、そんなキセキみたいな現象、あたしには一生起こらないんじゃないかって気がするの。」 アトリエの白い壁に、私の大きくない声が反響している。 「誰かに必要とされたら、生きていていいんだって思える気がして、はやく一番に愛されたくて焦って失敗して、結局微かにあった友愛さえ失うの。 好きな人に好きになってもらうのが下手なの。好きな人に好きって伝えるのが下手なの。 でも、愛する人に愛されたいの。それだけのことが一生かかっても成し遂げられない無理難題に思えるの。」 目頭が熱くなるのを感じて、私はおでこを、七海さんのネクタイにつけた。 涙だけは、彼のスーツに零れないように。 七海さんが小さく息を吸った。 「ねえ、俺のことって”大切に思えない人”に分類されてる?」 「へ?」 間抜けな声で私は顔を上げた。 あ、しまったまた泣き顔無防備。 「俺らって同僚だけど、俺は友達だとも思ってる。」 七海さんと目が合う。今日初めて彼の目を見た気がする。澄んだ、輝いた、奥の深い目。 整った顔と言われたらテコでも否定できない顔でしかもこの距離で見つめられると、ただの友達がそれ以上になりそうじゃないか、自覚しとけよ。 「で、俺はさ、探偵である以上、恋人は作れないと思うんだ。 恋人がいないならさ、友達って、一応暫定一位で必要としてるって風に繰り上げることは出来ない?」 そう言うと少し寂しそうに、残念そうに、ほんのちょっぴりの哀愁を秘めてあっけらかんと明るく微笑む。 「一応?暫定?」 「そう。俺の中で、一番大切なヒト。」 「でもおんなじ一番がいっぱいいるのね?」 「君だけだよって嘘でも言えたらいいんだけど、その通り。でもさ、」 私の頭上に乗りっぱなしだった彼の右手が、私の頬に触れた。あったかい。 ふにっ 「!?ららみはん!?」 と、思ったらつねられた。 痛くはないけど、いい年した男がいい年した女のほっぺつねるなっっ!ドキドキしちゃうだろうが!! 「案外、自分で思ってるより友達って、自分のこと必要として、大切にしてくれてるもんなんだよ。」 私の目を真っ直ぐ見てからウインクすると、ぱっと右手を開いて私を解放した。 「とりあえず、一晩飲み明かして、トレーニングルームで熱いシャワー浴びたら資生堂パーラーのヤケ食いってコースに付き合うなんて出来るくらいには、愛してるよん♪」 そう言って七海さんは机の上のヴーヴクリコを勢い良く開栓した。 夜景だけが灯りの暗い部屋で、ボトルから吹き出した金色の泡が星のシャワーのように輝く。 「あーっ、もう!アトリエでお酒こぼさないでよーっ!!!」 私の泣きながら、笑いながら、怒りながら、叫んだ声が、長い夜の開幕を告げた。 それは、二人がただの同僚ではなくなる頃より、もう少し前のお話。 =========================================================== we're all aloneは「人類みな一人ぼっちさ」ってアウトローな捕らえ方と、「私達二人っきりよ」というロマンティックでスウィートな捕らえ方があるのですよ。 BABY, the STARS SHINEなにがし様でお買い物してきた所為でしょうかシャンパンは出さなくてはいけなかったのです。 We're all aloneだからWe're all aloneになりたいと求める・・・私も今求めてます。柴田恭兵様と松本幸四郎様とユル・ブリンナー様を足して因数分解したみたいな砂漠の中のダイヤモンドの原石な魂の片割れを・・・!(無理難題に思えるの~) PR
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